題名
Acute Onset Olfactory/Taste Disorders are Associated with a High ViralBurden in Mild or Asymptomatic SARS-CoV-2.
邦題
軽症・無症状の新型コロナウィルス感染症陽性者の味覚・嗅覚障害は高ウイルス負荷と関連する
著者
慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 中川原賢亮
掲載ジャーナル
International Journal of Infectious Diseases
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7382961/
論文要旨
背景
新型コロナウィルス陽性者の症状と鼻咽頭ぬぐい液検体PCRのサイクル値(Ct値)の関連を検討した。Ct値が低いほどウイルス負荷が大きいと推測できる。
方法
当院に2020年3月28日から4月23日までに入院した無症状・軽症の新型コロナウィルス陽性者を対象に、各症状の発現時期と有症状期間、PCRの陰性化までの期間を網羅的に調査・追跡した。
結果
診断時のCt値が低いほどPCR陰性化までに長期間を要した。この相関は症状の有無に関わらず確認された。
発熱と味覚・障害の出現は低Ct値と関連した。
結論
新型コロナウィルス感染症診断時のPCR検査におけるCt値が低いことは、ウイルス負荷が高いことを示唆し、嗅覚・味覚障害の発症やPCR陰性化に要する期間の長期化に関連した。
本論文の与えるインパクトや将来の見通し
新型コロナウィルス感染症が世界中で猛威を奮う中、診断時無症状の者も含めて入院で各症状の出現を網羅的に追跡・調査した報告は稀である。嗅覚・味覚障害は高ウイルス負荷と関連しており、感染拡大防止に際して本症状の評価が重要であると考えられる。